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今年のスクールテーマについて
投稿者: little-K 投稿日時: 2011-1-12 12:31
新年、1番のレッスンにいらっしゃったみなさまには、今年のスクールテーマをお話しています。

今年のテーマは、「犬と人、お互いがもっと理解し合えるために」としました。


昨年は、「人も楽しく、犬も楽しく」だったのですが、1年間そのテーマにそってやってきたのですが、なんだかうまくいっていませんでした。

なぜなんだろう?と飼い主さんとワンコたちを観察していると、ある問題に気が付きました。


「自分が犬のために何かしなければ」という思いはとても強いのですが、頑張れば頑張るほど、犬はどんどん引いていってしまっているのです。


この問題の元は、飼い主が一方通行のコミュニケーションで犬のトレーニングをしているからだと思いました。

オペラント条件づけというトレーニング方法の誤解がもろに浮き彫りになった気がしました。


ごほうび、つまり犬が喜ぶこと、欲しがっているものを与えることで、犬が行動とごほうびを結びつける学習をするので、その行動をもっとやって、ごほうびをもらおうとするように仕向けることが正の強化なのです。


でも、やっているのは、要求する行動とごほうびが犬の中で結びついているのかも意識せず、単に儀式化して食べ物を与えているだけにしか、私には見えませんでした。

教える仕事をしていて、1番に悩むのは、自分の思っていることを飼い主さんに実際に行動としてしてもらうことの難しさです。


こちらの思いを相手に伝えることの難しさをいつも痛感しています。

昔は、自分には落ち度がない、相手が悪いのだと自分の思いをただ強く押し付けて、相手を傷つけたりするばかりでした。


今では、自分に教える技術が足りない、何かもっと理解してもらえる方法があるはずだから考えようと思うようになりました。

それが心理学や、コミュニケーションを深く勉強する機会になりました。


教えるには、犬の行動学、心理学だけでは決して適切に教えることはできないのです。


人と人とのコミュニケーションは、教えるというキーワードで考えると難しいものなのです。

言語という共通のコミュニケーションツール。道具があるのに難しいということは、共通のコミュニケーションを見つけ出せていない、つまり犬の返事の読み取れない飼い主さんには、至難の技になっているのだと気付いたのです。


もっと自分が犬に投げた要求や言葉などに、犬がどんな返事をするのかを受け取るようなキャッチボールが必要なのです。


ある人がある講座の自分の評価で、「あなたのコミュニケーションの方法は、キャッチボールでなく、ドッチボールです」と指摘されて、かなりへこんでしまってました。


でも、犬のトレーニングでごほうびを使うトレーニングにおいては、実はドッチボールでやっている人が多いのです。


ある時、犬にごほうびをあげていた飼い主さんになぜごほうびをあげているのか質問したことがあります。

その方は、「犬がやる気をなくしているので、やる気を高めるためにあげました。」と答えました。

しかし、私が見る限りで、犬はごほうびをもらって、やる気になっているようには見えませんでした。


反対に、飼い主に反抗することによって、ごほうびが出されると学習しているようにしか見えなかったのです。


これは、コミュニケーションがドッチボールになっている典型的な例だと思います。

ごほうびを与えることだけにしか考えていない、つまり、犬にごほうびを投げるだけしかしていないということです。


オペラントは、ごほうびをあげることで犬がそれをどう受け止めて、どういう行動で応えてくれるかを見なければ成立しないのです。

このことをもっと意識してもらうために、今年のテーマを考えました。


今年始めのレッスンでこのことを伝えるためのプログラムをしましたが、その時にまた新たな問題が浮上しました。

生徒さんに課題を出した時、課題をするのに飼い主さんにできるだけ自然にさせて欲しいと言いましたが、誰1人自然に犬にさせた人はいませんでした。


ルアー、リード、合図、気持ちなどで犬を強制している人たちばかりでした。

誰も自分が強制をかけていると思ってはいません。

でも、やっていることは「強制」なのです。


何かをやらないといけないと思った時、それを犬に伝えようと思って伝えようと努力するのですが、肝心な犬に理解できたのかを聞くことや、やらせようとしていることを犬がどう思っているのかなどを全く意識していません。

単にやらせようということだけなのです。

今回は、それを知る良い機会でした。


決して、飼い主さんたちが悪いといっているのではありません。
飼い主さんにそのことに気付いてもらうことが必要なのです。


そんな訳で、今年のスクールテーマは、「犬と人、お互いを理解し合えるために」です。