返信する: 笠木恵子から
- 犬のストレスについて
- 投稿者: little-K 投稿日時: 2009-5-17 20:08
- 土曜日に兵庫県動物愛護センターのしつけ教室に参加されたみなさま、私のうっかりでお約束のハンドアウトをお渡しできなくて本当にすみませんでした。
ごめんなさいね。
やっぱり玄関にでーんと置いてありましたぁ〜。
GCTの本試験はもちろんのこと、模擬でも飼い主さんたちは、かなり緊張しておられます。
その飼い主の緊張をもろに受けて犬たちもかなり緊張していま
その緊張がストレスとなり、ストレスサインがあちらこちらで見られました。
有名なストレスサインとして、カーミングシグナルがあります。
ハンドアウトが出せなかったので、今回はカーミングシグナルについての情報を出したいと思います。
カーミングシグナルは、ノルウェーのトゥリット・ルーガス先生が提唱した犬のストレスを緩和させるための信号のことを言います。
もともとは、オオカミが対立を荒立てないために相手のオオカミが攻撃しないように送るカットオフシグナルと呼ばれるものを犬も持っているということから考えられたものです。
カーミングシグナルを送ることで相手に自分にストレスを与えないでと伝えることもできますし、反対に相手にストレスを与えるようなことはしないよと伝えることもできるのです。
例えは、ある飼い主とワンコの一日をちょっとのぞいて、カーミングシグナルの実例を説明しましょう。
朝、少々寝起きの悪い飼い主が声をやや荒げて犬にどくように命じます。
犬は顔をそむけ、素早く鼻のてっぺんを舌でなめます。
顔を洗って、着替えをすませた飼い主が玄関にやってきます。犬は喜んではしゃいでついてきます。すると飼い主は、「スワレ!」とと強い口調で犬に言います。
犬は座りぎわにあくびをします。
さて、玄関から外へ出る時、犬はリードをやや引張り気味で飛び出します。飼い主は強くリードを引いて犬を戻します。
すると犬は飼い主に背を向けて地面の匂いを嗅ぎ始めるのです。
公園に到着し、犬はしばらく放してもらうのですが、時間になると飼い主は犬を呼び戻します。その声に少し緊張の感じがあったのでしょうか。
犬は飼い主の方に大きな弧を描きながらゆっくりと戻ってきます。
犬がわざと自分をじらしていると思った飼い主は再度声を上げます。
すると今度は犬は地面の匂いをかぎ、より大きな弧を描き、顔をそむけてしまいます。
やっと飼い主のもとにたどり着いた犬を飼い主はぐすぐすしていたと叱り、時に体罰を与えてしまったりするのです。
犬は再び顔をそむけ、鼻をなめ、あくびをしたりします。
朝のひとときの出来事だけですが、このようにして1日の生活を全て検証し、犬が飼い主を落ち着かせようと送っている全てのカーミングシグナルを説明し続けることができるのです。
犬は何かが起これば必ずカーミングシグナルを発するのです。
落ち着かせなければならない何か、誰かを目前にするたびに犬はカーミングシグナルを発するのです。
起きている間中、私たち人間同様に周囲に「話しかける」のです。
飼い主からの対立(ストレス)に対して犬は常に「まぁまぁ、落ち着いて下さいよ」とか、「そんなに私にストレスをかけないで下さい」と語りかけていて、それをカーミングシグナルと呼んでいるのです。
犬のストレスを少しでも理解してあげたいと思うなら、まず犬が飼い主に向けて語りかけるカーミングシグナルを受け取るところから始めて下さい。
ただ、カーミングはとても素早く発せられるので、よーく見ていないと見逃してしまいます。
犬の一瞬の動作を捉えられるようになるまで練習する必要があります。
詳しくは、今度のハンドアウトを見てね〜。