ごほうびは、学習の原理に基づいたトレーニングでは必要不可欠です。
しかし、長い間飼い主たちは、フード(食べ物)に固執し、食べ物以外のごほうびに関心をあまり示してきませんでした。
私も指導する時に、フードのごほうびが使いやすく、犬にとっても良いと思い込んできてしまいました。
その結果、飼い主の中にはフードに頼り、「フード依存症」におちいる人も少なくありませんでした。
それは犬との関係作りにも大きな影響を与えていることに気がつきました。
なぜ、ごほうびをフードだけにすると関係がうまくできないのかを色々と考えてみました。
そして、あることに気がついたのです。
それは、フードは専門用語で言う1次的強化子です。
1次的強化子とは、学習しなくてもそのもの自体がストレートに相手に良いものと意識させる力を持っているものです。
つまり、フードを犬は好きなのです。
ほめ言葉や飼い主の笑顔や飼い主との遊びなどのごほうびは、2次的強化子と言われ、1次的強化子との結びつき学習で犬が良いものと意識する力を持つのです。
2次的強化子は、飼い主から出される飼い主しか出せないごほうび、つまり飼い主と結びつくごほうびなのです。
2次的強化子を持っている飼い主は,犬に大好きと思われているとも言えます。
初歩の段階では、1次的強化子であるフードというごほうびに頼ることもアリですが、本当に愛犬と良い関係を作りたいと思うのであれば、2次的強化子として自分の行動や自分自身、自分とトレーニングすることを良いことと結びつけてあげる必要があるのです。
そして、2次的強化子はレベルアップの要素でもあります。
なぜなら、GCTやJKCの家庭犬訓練試験においては、テスト中には1次的強化子は使うことができませんが、2次的強化子ならば使うことができるのです。
フードに頼るあまり、テストの時だけフードをなくしてしまって犬のやる気を落として行動のコントロールを失う飼い主が多いと思います。
普段のトレーニングから良い関係を築くために2次的強化子として自分から出されるテストでも使えるごほうびを犬に伝えておけば何の心配もなく楽しくテストを受けることができるというのに、それでもまだあなたはフードを使い続けるというのですか?