(Update:2011-1-24 10:38:04)
教えるってこと
今年のスクールテーマの「犬と人、お互いを理解し合えるために」を分かっていただけるために、体験することで具体的に理解してもらえるようなプログラムを教室で行いました。フロアーにゲートを作り、「そのゲートを犬だけが通過するように」という課題を生徒さんに伝え、できるだけ犬を自然にゲートの前に連れて行き、犬が自分でゲートを通過するように仕向けて下さいと伝えました。
そして、犬と飼い主さんの動きを教室に参加している人たちみんなで観察しましょうということにしました。
ゲートに無理やりにリードを引っ張って連れて行く飼い主さん、ごほうびでルアーをして連れて行く飼い主さんがほとんどでした。
犬達は、初めて見るゲートを怖がる犬、興味しんしんで匂いを嗅いで調べる犬、飼い主さんが自分から離れることを気にする犬など、参加された犬はみんな反応が違っていました。
でも、飼い主さんは、犬のそんな反応を気にもしていませんでした。
犬と人が理解し合えるようになるためには、良いコミュニケーションが欠かせません。 コミュニケーションは、一方通行では成り立ちません。
相手とやりとりをくり返すことで、相手の思いや、気持ち、感情を理解してあげることができるのです。 このやりとりは、相手に無理やりさせたのでは、理解することができません。
「ルアーや誘導は、良いこと」という偏見が、犬の返事を確認するというコミュニケーションの基本を無視することになってしまっているのです。
飼い主は、犬にやらせることばかりに意識を向けていて、犬が自分がさせようとしていることをどう思っているのかなど、全く気にしていないのです。
私は、自分の教室で起こっている一方的なキャッチボールではなく、ドッチボール的なコミュニケーションに、「これではイカン!」と強く思いました。
オペラント条件づけ、ごほうびを使ったトレーニングの誤解が、こんな問題を起こしていたことを改めて認識し、飼い主さんにもっと愛犬の言葉、返事を聞く姿勢を持って欲しいと思いました。
飼い主のやらせるって感情を私が強く抑えると、犬達は、本当に自然な行動で自分の気持ちを伝えてくれていました。
犬の気持ちを大切にするはずのトレーニングで、犬の気持ちなど全く無視してしまうようになってしまったら、キャッチボールはできなくなると思ってしまいます。
私も生徒さんたちに教えようとする時に、つい犬のことを優先するあまりに飼い主さんに押し付けや、キツイ言葉や無理な行動を要求してしまうことがあります。
よく聞く言葉、「犬には、優しくって言うのに、人には、なんであんなに厳しいの?」が私の中で響きます。
犬も人も同じ、飼い主さんに犬の言葉や気持ちに意識を向けてもらいたいなら、教えている私も飼い主さんの言葉や気持ちにもっと関心をもたなければばならないのでしょうね。
結局、教えるってことは、犬も人も同じなんだということです。 形ばかりにこだわる指導者よりも、心を伝えようとする指導者をきちんと見分けなければ良いトレーニングは、学べないってことです。
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