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(Update:2008-8-7 21:03:38)

安楽死を考える

今年に入ってから生徒さんのワンコの訃報が相次ぎました。
年齢的に天寿をまっとうしたワンコもいますが、うちの一花を始め悪性腫瘍やガンで命を落とすワンコが急増しています。

昨年、ネイトを通して安楽死についてリアルタイムで考える機会が私にはありました。
安楽死は、日本においてはあまりポピュラーではありません。


しかし、海外では日本のようにお役所が怠慢な飼い主に代わってやっかいものに仕立て上げた愛犬を始末するような引取りの制度がなく、飼い主は、犬を安楽死によって始末しているのが実情です。

ですから、飼い主がやっかい払いにする安楽死は、日本においてはありません。
しかし、これほどに犬たちにとってやっかいな病気が多くなってくれば、必然的に安楽死の選択も飼い主はしなければならない時がくるかも知れません。

病気による安楽死は、犬の苦しみが止められない、これ以上高額な医療費を支払うことができない、犬の介護にこれ以上携われないなどのやむを得ない事情が飼い主にのしかかってくる時に発生します。

飼い主の判断を求められるものなのですが、飼い主の精神的ケアの整っていない日本においては、かなり大変なことだと思われます。

たとえば、アメリカなどは、アニマルメディカルセンターの待合室にいる飼い主のためのカウンセラーなど飼い主の精神的なさサポートを行う獣医など、まだまだ進んではいない分野なのです。


獣医だけでなく、トレーニングにおいての飼い主の精神的なサポートすら進んでいないと思います。
私は時々、しつけ教室で精神的に傷つけられた飼い主さんの話を聞きます。
私も私の気がつかないところで生徒さんである飼い主さんを傷つけてきたかも知れません。

犬に気をとられるあまりに、飼い主に無神経な言葉を投げかけたり、態度で接してしまったりすることもあるからです。
できるだけ生徒さんから声を聞くような体制や姿勢をしていてもなかなか話してもらえなかったり、誤解を受けたりします。
私たちトレーニングの指導者のレベルでも飼い主さんの心のケアを考える指導を必要とする時代なのですから、安楽死を獣医レベルだけで野放しにはできません。

実際に私もネイトの介護をしていて、苦しい発作にだんだん襲われる回数や時間が多くなったり長くなる中で、ネイトが私に悲しそうになんとかしてくれとんばかりに見る顔を今でも忘れることはありません。

そんな時に、自分の無力さと無能さを実感し、少しでも長く生きていて欲しいという思いと、こんなに苦しませて、この苦しみを長びかせてもいいのだろうか?という疑問が常に心によぎっていました。


結局、私が決断を下す前にネイトは力尽きて逝ってしまい、私は安楽死の決断をしなくても済んだのですが、これは私に飼い主は安楽死の決断でも精神的に苦しむのだと教えてくれました。


へたをすれば大きな心のトラウマになる安楽死をもう他人事のように聞き流せない時代なのです。
ペットロスと同様に飼い主の心のケアをどんな分野でも受け入れて進めていかねばならないと思いました。


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