今でも忘れることができません。
地震の後の悲惨な状況が時々フラッシュバックすることがあります。
目の前でたくさんの近所の方が亡くなってしまいました。
無事だった車で、けが人を芦屋まで搬送していた時、
運んでいたお兄さんの一言が
「犬はダメだった?ダメだよな。」
でした。
自分たちが必死なのだからしかたない・・・と言い聞かせていても、
道路に飼い主を求めているのか、
安全なところを求めているのか、
たくさんの犬がうろうろとしているのを見るのは辛かった。
フェリーで神戸まで来ていた姉が、港で海に落ちて死んでいる犬や猫をたくさん見たと言っていました。
震災後2日目か3日目に、アニマルレッドクロスのアメリカ人と、飼い主さんたちのところをまわった時に
「こんな大変な時に犬や猫のことなんか言うな!人が先や!」
と水をかけられたことも忘れられない。
そして、その時に
「気にしちゃダメよ。間違ったことをしてる訳ではないんだからね。」
と笑って言ってくれた彼女の笑顔も言葉も忘れられない。
勿論、スイス隊と過ごした日々も私の今を支えてくれていると思うのです。
スイス隊のHQ(ヘッドクオーター)にいた通称先生から、チョコレートと一緒にもらった言葉は
「君が気にすることはない。
誰だってこんな極限の時には、何かに当たりたくなるんだ。
それだけ辛い体験をしているんだ。
受け入れることが第一歩なんだ。
どんなこともね。」
でした。
日本の救急隊と意見が合わず、ちょっとした嫌がらせをされているのを気にしていた私に、彼がくれたこの言葉は、それから先に三田の動物救護センターで働いている時も、私の胸の中で聞こえ続けていました。
震災で私は、動物との新たな関わり方について考えることができるようになりました。
あれから10年以上の時間が過ぎたなんて信じられないけれど、神戸の町と同じくらい元に戻ろうと努力を続けている。