MY DOG TRAINING SCHOOL  }bqz[y[WWelcome Guest 
ログイン
ユーザー名:

パスワード:


パスワード紛失

アクセスカウンター
08724029
昨日: 0765
今日: 0309
From:2007/11/10
オンライン状況
36 人のユーザが現在オンラインです。 (1 人のユーザが Owners story を参照しています。)

登録ユーザ: 0
ゲスト: 36

もっと...
(Update:2008-10-25 22:14:24)

第10話)石井さんとルイ-ズ

ルイ-ズは、ハスキーの女の子です。
年は推定4歳、飼い主の石井さんがボランティアをしている愛護団体で飼育放棄で前の飼い主から捨てられたのです。


扱いもあまりよくなかったらしく、初めはルイ-ズは石井さんに対して全く心を開きませんでした。
でも、石井さんは、「辛い思いをしてきたんだもんね。しかたないね。でも、私は前の飼い主さんとは違うのよ。あなたと仲良くなりたいわ。」と、怯えるような悲しそうな目で自分を見ているルイ-ズに優しく話しかけました。


少しずつルイ-ズが石井さんに心を開きかけて時に、石井家では大きな不幸が訪れました。

ご主人の車が事故に遭って、ご主人は脊髄を傷めてしまい、首から下がマヒしてしまったのです。
石井家の生活は一変してしまいました。
陽気でアウトドア派のご主人は、自分の体が自分の思うように動かないことに悲観して毎日石井さんに辛く当たりました。



ご主人の辛い気持ちがよくわかるだけにそれを受け止めている石井さんも心が痛みました。
病室ではご主人がどんなに辛く当たっても穏やかに笑って励ましている石井さんも家に帰ると溢れる涙で辛い思いを抱えていました。

ある日、ルイ-ズが何もする気をなくしてベランダで外を眺めていた石井さんの傍らに自分からそっと寄り添ってきたのです。
それまで、ルイ-ズの方から近づくことはなかったので、石井さんはちょっと驚きました。
そして石井さんの顔をじっと見つめているのでした。


自分を見つめているルイ-ズの優しい瞳を見ていた石井さんは思わず涙がボロボロとこぼれてしまいました。

ルイ-ズは、その涙をまるでぬぐうかのように優しくペロペロとなめてくれたのでした。


「ありがとう!ルイ-ズ。パパはとても辛い思いをしているのに私何もできなくて辛かったの。でも、そうね。側にいてくれるだけでいいのね。一緒に悲しんでくれるだけでいいのね。私もそうするわ。本当にありがとう。」とルイーズを抱きしめて流れる涙をぬぐいもしないで石井さんは自分に何度も何度も言い聞かせていました。


ルイ-ズの明るさが伝染するかのように石井さんも穏やかな心を取り戻して行くことができてきました。

そして、「自分の身に起こったことを受け入れるまでにずいぶんと時間がかかっても、パパは必ず元のあの陽気で明るいパパに戻ってくれる。」と石井さんは確信を持つことができました。


そんな風に思えるようになったのもルイ-ズのおかげでした。

子供たちも、この不幸を受け止めて、そして良い方向へ動き出すために懸命に力を貸してくれました。


そんな風にして家族がひとつになることで、ご主人も自分の運命を受け入れて、そして生活を元に戻そうと努力し、前よりもパワフルに生きる努力を始めました。

もちろんご主人を支えたのは石井さんですが、その石井さんを支えたのはルイ-ズと子供たちでした。


「ごめんね、ルイ-ズ。前みたいに構ってあげられなくて。」と病院から家に帰り着いてヘトヘトなのにルイ-ズと散歩に出て石井さんは言いました。

ルイ-ズは嬉しそうに公園の散歩を楽しんでいて、時々振り向くと「ママ!どうでもいいから散歩を楽しみましょうよ!」と言わんばかりの顔でしっぽをブンブンとふるのです。


「ルイ-ズ、あなたといると疲れなんか吹っ飛んでしまうわ。そうね、楽しいこと考えて生きて行くのが一番ね。あなたとこうしていると楽しいわ。」石井さんはルイ-ズの体をポンポンと軽く叩いて、また一緒に歩き出しました。

車椅子で動き回れるまで奇跡的な回復を見せてくれた石井さんのご主人は、車椅子に寄り添って歩くルイ-ズの顔を見ながら、「ルイ-ズも辛い過去を持っていても、いつも陽気で元気だもんな。僕もお前のように生きることを楽しむことにするよ。ルイ-ズ、お前をお手本にして1から出直しだ。」と笑顔で話しました。


車椅子を押しながら石井さんは、そんな2人を太陽を見るようにまぶしそうな顔をして見つめていました。


プリンタ用画面 友達に伝える
投票数:72 平均点:6.67
前
第9話)田村さんと愛ちゃん
カテゴリートップ
絆物語 - Owners story
次
第11話)片岡君とすずらん